第26回リベラルアーツ講座

第26回濱川学院リベラルアーツ講座は、金刀比羅宮の参道で28代続く飴屋、五人百姓 池商店の池龍太郎さんをお迎えし、「物語」をテーマに開催しました。

講座は、『こんぴらさん』と『五人百姓』の歴史から始まりました。「百姓」という言葉には農民という意味だけでなく、多様な職能を持つ人々という意味が込められていること。かつて神事の謝礼として米を受け取っていた彼らが、経済社会を生き延びるために飴売りへと転換した五人百姓の成り立ち。また、雨の少ない香川において、五穀豊穣を祈る恵みの「雨」と「飴」を掛け合わせたという願いや、江戸まで歩いて一ヶ月かかる道のりでも傷まないお土産としてその飴が選ばれた背景など、教科書には載らない、参道に根付いた人々のたくましい生きる知恵が語られました。

物語は次第に、池さん自身の人生へと移っていきます。大学時代、所属していた弓道部の在り方に一年生の頃から疑問を抱き、二年生から改革に乗り出したという経験。それまで届かなかった全国大会に、男子弓道部を初めて導いた出来事は、当時の池さんにとって大きなターニングポイントでした。家業を継ぐという選択とは別の出来事でありながら、そこに一貫して流れていたのは、人を巻き込み、動かしていくリーダーシップでした。

後半のワークでは、参加者一人ひとりが自分の「そういえば」を思い出し、言葉にする時間が設けられました。会場の空気は、涙ぐむ人がいれば笑いが起きる場面もあるという、感情の振れ幅の大きいものでした。

ある参加者は、「以前兄弟の文化祭で見かけた展示を作った人と、この場で偶然話せた」というセレンディピティを語り、また別の参加者は「ぼんやりと考えていた観光の仕事への興味が、今回の話を通して香川の観光に貢献したいと思うようになった」と振り返りました。

最後に池さんが伝えたのは、「ネジを緩めておくこと」。思考のネジは知らないうちに固まっていきます。それを緩めておくために、池さんは人と出会うことと、本を読むことを挙げました。そのうえで、「今が一番若い、今からでも遅くない」と参加者に語り掛けました。
自分の物語も、まちの物語も、語られることで初めて歴史になる。そんな実感を残す夜となりました。
濱川学院では、これからも高松市の塾・予備校という枠を超え、生徒たちの知的好奇心を刺激し続ける場を提供していきます。次はどんな未知の世界に出会えるのか、私たちも楽しみにしています。
企画・運営:山村潮音





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